導入事例/リサーチ・コンサルで活用

外部環境分析を高度化し、事業性評価の精度が向上

株式会社伊予銀行

株式会社伊予銀行

コンサルティング営業部
担当課長
岡田 栄司 氏

外部環境分析を高度化し、事業性評価の精度が向上

愛媛県松山市に本店を置く伊予銀行は、瀬戸内海沿岸を中心に店舗を展開する四国最大の地方銀行です。

同行のコンサルティング営業部では、クライアントおよびクライアントを取り巻く経営環境を分析するノウハウ・スキルの品質向上や分析力アップ、標準化、業務効率化のために企業・業界分析ツール「日経バリューサーチ」を導入し、効果的に活用されています。

取引先を知るには業界全体を把握することが必要
企業を取り巻く「外部環境」が事業性評価の鍵を握る

政府・金融庁は中小企業の経営支援に向けて、金融機関に取引先の事業の内容や成長の可能性を適切に評価し、融資や助言を行うことを求めています。この『事業性評価に基づく融資』を推進することが我々コンサルティング営業部の主な業務の1つです。

伊予銀行での事業性評価の流れは、まずお取引先の内部環境および外部環境の両面を分析します。その後、SWOT分析などのフレームワークを使って経営課題を抽出し、経営課題に応じた最適な融資やコンサルティングメニューを検討し、提案します。

株式会社伊予銀行/岡田栄司氏

事業性評価を実施するにあたって、お取引先と接する営業店はどうしても内部環境にばかり目が向いてしまいがちなのですが、私はIRC(いよぎん地域経済研究センター)で地場産業の調査に携わっていた経験もあり、企業を取り巻く外部環境を分析することの重要性を強く感じています。特に現代は環境変化のスピードが加速している時代なので、情報は常にアップデートする必要があります。

愛媛県には、特徴的な産業が多数集積しています。例えば今治市周辺には造船や海運関連業者のほか、タオル製造業者などが数多く集積しています。また、宇和島圏域には海面養殖業者、松山市周辺には道後温泉を中心にホテルなどの観光業者やサービス業が集中して立地するなど、地域ごとの特色がはっきりしている地域です。

取引先を知るには、その取引先のことはもちろんのこと、業界自体を深く知る必要があります。地域特性が明確に出やすい愛媛県に拠点を置く銀行としては、やはり、その産業の動向や市場規模、将来性などをしっかり分析し、的確に把握した上で事業性評価を行う必要があるのです。

外部環境分析の高度化を目指し
「日経バリューサーチ」で情報をアップデート

外部環境分析をより高度化したいという目的があり、常に情報をアップデートするために日経バリューサーチの導入を決めました。導入以前は、『業種別審査事典』が分析の中心でした。幅広い業種が網羅されている『業種別審査事典』に加え、新鮮な情報が頻繁に更新される『日経バリューサーチ』を使えば、外部環境分析がさらに高度化できると考えました。

当行では、お取引先に喜んでいただける提案活動を実施するため、年間で400〜500件ほど、営業店が作成した事業性評価シートをもとに本部と営業店で提案内容のすり合わせを実施しています。その参考資料として、8ページほどの日経NEEDS業界レポートを当該企業ごとにダウンロードして活用しています。

日経NEEDS業界レポートに加えて、最近パワーアップされた年に1回更新される「日経 業界分析レポート」も活用しています。これはバリューチェーンや市場規模など、非常に充実していますし、視覚的にも捉えやすくて助かっていますね。事業性評価の外部環境分析では、市場規模の推移を必ず調べるのですが、『業種別審査事典』のデータだけでは情報が古くなってしまいがちなので、鮮度の高い情報を日経バリューサーチから立ち処に入手できるのはやはり大きなメリットです。

企業情報のプラットフォームとしても活用

我々が事業性評価をする対象は非上場企業がほとんどですが、取引先が業界でベンチマークとしている競合企業の情報を日経バリューサーチで一括取得できる点も助かっています。

また、事業性評価以外の業務においても日経バリューサーチを活用しています。たとえば、審査部門が上場企業の与信判断に使うケースがあるほか、コンサルティング営業部では、M&Aの案件などで上場企業の指標を示した企業比較表などのデータを重宝しています。M&A担当者はマルチプル指標やDCF(ディスカウント・キャッシュフロー法による企業価値評価)などの機能も活用しています。

外部環境分析も重視する意識改革につなげたい

日経バリューサーチなどのツールを活用することで、外部環境分析の精度を向上させ、その上で、行内での研修などで情報発信することにより、『外部環境分析と内部環境分析は事業性評価の両輪である』ことをしっかり根付かせたいと思います。

とにかく、これからも地方の中小企業は激しい競争を生き抜いていかないといけません。しかし、そんな荒波の中でも時代の変化に的確に対応すれば十分に生き残っていけるはずです。それを我々銀行がお手伝いできるように、内部環境・外部環境の両面からしっかりと事業性評価を行い、適切な支援をしていきたいと思います。

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