資本コスト経営、
導入期の課題解決!

ワークショップ・レポート | 2019.4

このレポートは2019年4月23日開催したワークショップの抜粋です。

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日経バリューサーチは2019年4月23日、都内で「資本コスト経営、導入期の課題解決!」と銘打ったワークショップを開催しました。

日本経済新聞社の小野学・ビジネスリサーチ編集長は、現在の「資本コスト経営」ブームはこれまでと取り巻く環境が違うと指摘。ナブテスコの斉藤伸太郎・コーポレート・コミュニケーション部広報・CSR担当参事は、資本コスト経営の実際の運用方法などを解説して頂きました。パネルディスカッションでは会場からの質問を受ける形で、社内外で浸透させるポイントなどを議論しました。

解説

マーケットの変遷から読み解く、資本コスト経営の潮流

小野 学
日本経済新聞社 ビジネスリサーチ編集長

日本の株式市場で最初に自己資本利益率(ROE)や資本コストが注目されたのは1990年代の半ばだ。
当時は金融不安やデフレ経済の影響で、企業は資本効率よりも生き残りを優先し、ブームは終わった。2000年代半ばには海外株主が増え、再びROEや資本コストへの意識が高まったものの、リーマン・ショックで途絶えてしまった。現在は3回目のブームだ。

3回目となる今回、最も重要な環境変化は、企業や機関投資家の行動規範を定めた「スチュワードシップコード」「コーポレートガバナンスコード」、経済産業省がまとめた「伊藤リポート」が出たことだ。

参考:マーケットの変遷から読み解く、資本コスト経営の潮流

スチュワードシップコードもコーポレートガバナンスコードも、「企業価値向上」を目的として投資家と企業の対話を促進させる狙いがある。株式市場にとっても資本コストは単なる数字ではない。長期的な視野で「外部から企業を変える」ことで、企業と投資家は、同じで土俵で共生・協働できるようになる。

過去2回、失敗に終わったのは「経営者の意識」が完全には変わらなかったからだ。現在のブームが「2度あることは3度ある」なのか、それとも「3度目の正直」なのか、引き続き「マーケット」を通じて注目していきたい。

解説

ナブテスコの持続的な価値創造への取り組み

斉藤 伸太郎 氏
ナブテスコ株式会社 コーポレート・コミュニケーション部 広報・CSR担当参事

当社では2017年度からの中期経営計画で、業績評価指標(KPI)として投下資本利益率(ROIC)を導入した。資本コストを上回るリターンの持続的な創出に向け、経営資源の効率的な活用を現場レベルにも浸透させるとともに、生み出されたキャッシュを成長戦略や株主還元など財務戦略に活用させることが目的だ。

ナブテスコ コーポレート・コミュニケーション部 広報・CSR担当参事 斉藤 伸太郎 氏

ROIC浸透には事業部門への配慮も必要だ。事業ごとに成長ステージや市場特性は違う。そこで、成長ステージや市場特性の異なる事業の違いを考慮し、絶対額ではなく前年度からの改善度合いを評価することにした。
今回のガバナンスコード改定で、資本コストを的確に把握することを改めて明文化した。加重平均資本コスト(WACC)は、設備投資での投資回収判断等に用いている。期待収益率については、実際に投資家と対話し、適正水準を確認し合っている。

稼いだキャッシュは設備投資や研究開発など成長投資に回すことを優先している。株主へは、財務資本を使った価値の提供や自己資本利益率(ROE)の向上、配当性向35%以上といったことをコミットメントしている。

ディスカッション

「資本コスト経営」導入期の課題解決

ーー資本コストを求める際、どんなことに気をつけたらよいか。

ナブテスコ
斉藤伸太郎氏

算出の目的は、計算で出てきた数字の水準以上の価値を生んでいるかどうかを計ることだ。諸データの期間や頻度の取り方で、小数点以下の結果は変化するので、数字はざくっと把握できればよい。

日本経済新聞社
小野学

リスクフリーレートひとつとっても、日本国債か米国債か、10年物なのか20年物なのかという議論が出てくる。サイクルが長いとデータ数が少なくなり、短いと個々のデータの信頼性が低くなる。数字の厳密性を求めるというよりは、投資家と議論し数字の前提条件を共有していくことが大切だ。

ワークショップで紹介された
資本コスト関連の指標はこちら

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