M&A(合併・買収)助言会社のレコフによると、日本企業の2021年1〜6月のM&A件数は前年同期比17%増の2128件と、1985年の統計開始以来、同期間で最多となりました(8月10日付の日本経済新聞)。
新型コロナウイルスの影響で経営の先行き不透明感が強まるなか、先読みの道しるべとなるのが、日本経済新聞社が提供する企業・業界分析の法人向け情報プラットフォーム「日経バリューサーチ」です。
新型コロナウイルス後をにらみ、企業の大胆な事業再編が始まっています。事業環境が大きく変わるなかで、収益構造の転換を進めるM&Aの動向を日経バリューサーチで調べてみました。
高水準のM&A、クロスボーダーでも
2020年1〜12月のM&A(買収、子会社の買収、事業部門の買収の合計)は923件だったのに対し、2021年は1〜9月で720件と高水準で推移。とくに海外を含むIN-OUT、OUT-INの事例が目立ちます。2021年1〜9月は東証1部上場企業が332件だったのに対し、東証マザーズとジャスダックが合計124件と、新興企業の動きも活発です。
企業は世界的な投資テーマである脱炭素分野や、さらに加速するデジタル化を中心に事業内容を組み替えています。
三菱ケミカルの場合
例えば、三菱ケミカルは2020年8月、ドイツの炭素繊維リサイクル会社2社を買収しました。生産から再利用までの循環体制を確立し、環境意識の高い顧客への訴求力を高める考えです。ドイツは環境政策に力を入れる欧州最大の工業国です。
三菱ケミカルは欧州で相次いで事業買収を実施して、炭素繊維の生産体制を強化しています。2020年2月にはドイツの炭素繊維複合材メーカーであるc-m-pを買収しました。c-m-pは炭素繊維プリプレグの製造、販売を手がけており、自動車のサスペンション部品などのほか、欧州の航空機大手エアバス向けにも内装材の用途として販売しています。
グループをまとめる三菱ケミカルホールディングスは2021年4月、ベルギー出身のジョンマーク・ギルソン社長が就任しました。同社が社外から外国人の社長を招くのは初めてです。しがらみの少ない外国人をホールディングスの社長に据え、客観的で冷静に事業再編の判断を下す狙いもありそうです。
テーマも幅広く
M&Aのテーマは「脱炭素」ばかりではありません。東証マザーズ上場で、大阪大学発のバイオ企業アンジェスは2020年12月、ゲノム編集技術に強みを持つ米エメンドバイオを買収しました。アンジェスは遺伝子治療の技術を使った医薬品やワクチン開発を重点分野と位置づけており、エメンドバイオの技術を取り込む狙いです。
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