共英製鋼株式会社
競合分析の迅速化を目指して導入を決定
長期的な企業価値向上に向け、 資本コスト経営の提案にも活用
1. 日経バリューサーチ導入の背景
多様な業務を少数精鋭で実施
競合の情報収集の効率化に期待
北本 氏:経営企画部の中でも、私や大善さんが所属する経営企画課は、経営にまつわる「企画」と「管理」を担う部署です。
企画の部分では、M&Aの検討や、中期経営計画の策定などが主な業務ですね。M&Aでは、シナジー効果のある会社の買収だけでなく、グループ会社の再編や社内組織の再編など、グループの価値向上につながる事業の選択と集中を目指しています。
管理については、グループ会社から上がってくるさまざまな情報を確認し、必要に応じて各部署と連携してグループ各社の経営指導等をしています。
大善 氏:経営会議に向けた資料作成、経営計画にもとづく年度の損益予算作成なども管理に含まれますね。損益の見通しや、競合他社の状況や業界の動向を踏まえて将来の見通しを立て、ステークホルダーへの説明資料や社内の管理資料としてまとめます。
基本的には、グループ企業の管理は北本さんにお任せし、私は足元の業績管理や予算作成を担当しています。M&Aなど、事業投資の検討は2人で行うことが多いですね。
北本 氏:社内で最も情報が集まってくる部署であり、また集める情報も多いことから、特に時間がかかる競合他社の情報収集を効率化したいと思ったのが、ツール導入を検討したきっかけです。
競合他社がそう多いわけではないので、証券会社に依頼して情報をもらったり、ウェブサイトを見たりといった方法で必要な情報を集められないわけではありません。しかし、そうすると資料の情報量に差が出る、証券会社によってアウトプットの仕方がまちまちで比較に時間がかかるといった問題がありました。
以前から漠然と課題を感じていたところ、2020年頃に日経バリューサーチをご紹介いただき、「情報収集にかかる時間を削減して、分析に時間をかけられるなら」と検討を始めました。
2. 具体的な活用例
競合他社の財務データ分析や資本コスト算出に活用
シミュレーション時間の短縮化で、情報収集の一歩先にある戦略検討の時間を生み出す
シミュレーション時間の短縮化で、
北本 氏:基本的には、当初の目的だった同業他社と自社との比較の際に使っています。競合企業を登録しておくと、欲しい情報が一括で集められ、ボタンを押せば競合比較レポートが作成されるのでとても便利です。
かなり迅速に情報を集めて精査できるようになったので、資料作成のスピードが上がりました。アウトプットがExcelのテンプレートで統一されているのもいいですね。
大善 氏:導入後、自分の仕事に使えると思ったのは、競合他社の財務分析です。
例えば、似たような設備産業の財務データを知りたいとき、これまでは企業が公開している決算書類や決算短信などをもとにゼロから調べていました。日経バリューサーチでは、さまざまな財務指標を簡単に確認でき、多角的に財務データを分析できます。
財務指標のひとつである売上債権回転期間をグラフ化して他社と比較した際には、当社は他社に比べてかなり期間が長めであることがすぐにわかりました。
北本 氏:売上債権回転期間が長いということは、手元資金が不足しがちで、売上が順調でも支払不能になる可能性があるということです。そこで、売上債権回転期間を短縮する必要性を経理部や営業部に説明し、部をまたいだ改善プロジェクトを立ち上げました。
大善 氏:売上債権回転期間の短縮には、代金回収を担う営業の協力が欠かせません。代金回収までの期間を短くし、債権を確実に回収することがどうして重要なのかを説明する際にも、日経バリューサーチの資料が役立ったと聞いています。
北本 氏:私は、資本コストを自動的に算定できる機能も重宝しています。コーポレートガバナンスのための主要原則の改訂で、企業価値向上に向けた資本コスト経営の重要性が指摘される中、資本コストの効率的な算出方法は潜在的な課題のひとつでした。
日経バリューサーチには、WACC(加重平均資本コスト)とその計算に必要な値(=株主資本コスト、負債コスト)、ROEやROICなど資本コストと一緒にベンチマークする経営指標を、自動的に取得できる機能があります。資本コストが企業価値に与える影響をシミュレーションすることもでき、経営層の意識を資本コスト経営に向けさせる一助になりました。
大善 氏:どれだけ効率良く利益を出せているか、お金がグループ内に偏りなく行き渡っているか、またそれを無駄なく使えているかといった視点で業績を検討し、共英グループとしてより最適な経営戦略を考えることができています。
北本 氏:これまでは数値を集めるのに一生懸命でしたが、日経バリューサーチのおかげでその一歩先まで考えられるようになりました。
3. 今後の展開
今後は中期経営計画策定時に利用し
外部環境分析をよりスムーズに行いたい
北本 氏:現時点でフル活用しているのは私と大善ですが、10名いる経営企画部のメンバー全員が日経バリューサーチにアクセスできるようにしています。
今のところ、ESG推進室の実務担当者が積極的にチェックしていますね。ESG関連のニュースや、ベンチマークしている企業のサステナビリティな戦略・活動などが集約された、「ESG総合メニュー」をよく使っていると聞きました。日経バリューサーチが主催している、ESG関連のセミナーにも参加しています。
大善 氏:今のところ、導入の段階で「こういうことができたらいいな」と期待していた領域は十分にカバーしてくれています。むしろ、想定以上の範囲で活用できている印象ですね。売上債権回転期間分析の説明資料として使用した際、経理部や営業企画部も興味を持っていたので、利用シーンはさらに広がっていくのではないでしょうか。
今後は、次の中期経営計画を策定する際に利用したいと考えています。中期経営計画の前段部分で行うSWOT分析などでは、日経バリューサーチで収集できる統計データや開示資料が非常に有用ですよね。
北本 氏:サステナビリティの潮流を受けて、二酸化炭素排出量が比較的少ない電炉に注目が集まっているほか、環境リサイクル事業も好調です。世の中の流れに沿って事業の領域を広げていくためにも、アイデアの源泉として日経バリューサーチを役立てていきたいですね。