独自のカスタマイズで情報収集が10分から1秒に
データで意思決定を後押しし、
CRGホールディングス株式会社は、傘下に8つのグループ会社を擁する総合人材サービス企業として、人材派遣・紹介事業、請負、ITソリューションの開発・提供を手掛けています。
主力の人材派遣事業では、コールセンターやブルーカラーなど、業界・業種に特化したサービスを展開。近年は、障がい者や非正規雇用労働者が能力を発揮できる環境の整備を企業に働きかけるなど、誰一人取り残されることのない社会づくりにも尽力しています。
日経バリューサーチ導入の目的
- データにもとづいた戦略策定を行うための情報が欲しい
- 複数のツールを行き来する情報収集の方法を簡潔にしたい
導入の効果
- 情報収集の煩雑さを解消、10分から1秒に時間を短縮
- プル型営業からプッシュ型営業へのシフトに貢献
- データをもとにした根拠あるM&A先の選定
同社の経営企画部は、グループ各社の管理部門の機能を有するホールディングスにおいて、中期経営計画の策定や予実管理、広報、IR、新規事業の立ち上げサポート、ウェブマーケティングといった幅広い領域を管轄。さまざまな情報提供の局面でデータにもとづいた根拠を示すため、日経バリューサーチをカスタマイズしながらフル活用しています。
1. 日経バリューサーチ導入の背景
データを活用しきれていない戦略策定に課題
非効率な情報収集の改善も必要
私が当社にジョインしたのは、2018年10月に東京証券取引所マザーズ市場(現・グロース市場)に上場する直前のことです。
前職の人材・求人情報サイトの会社でも経営企画・広報IRを担当しており、中期経営計画の提案などを担っていたことから、縁あって知り合った代表の古澤に「手伝ってくれないか」と声をかけられたのがきっかけでした。
ベンチャー企業のような活気にあふれ、IPOを直前に控えた独特の熱気もあって、成長企業ならではの勢いを感じたのを覚えています。
業務にあたる中で、少数精鋭のメンバーによる情報収集の限界もありましたが、中期経営計画のマーケットの分析やKPIの設定・運用体制の構築が不十分で、予測精度が低いと感じていました。この頃から、何かしらツールを使って状況を改善する必要があると考えるようになりました。
さらに、営業スタイルを変える必要性に迫られたことも、日経バリューサーチの導入を決めた理由のひとつです。
当社は業界特化型の派遣事業で、慢性的な人手不足が続く大手企業が顧客だったため、プル型の営業が基本でした。しかし、コロナ禍で旅行業界や飲食業界の正規雇用の方がコールセンターや物流に流入し、漫然とした待ちの姿勢では顧客に選ばれないという危機感が高まり、プッシュ型の営業にシフトすることにしたのです。
プッシュ型の営業には、クライアントを取りまく外部環境の分析が欠かせません。これまでの情報収集は、営業一人ひとりの裁量に委ねられており、クオリティに大きな差がありました。より効率的に付加価値の高い情報を収集できる仕組みを構築すべく、日経バリューサーチを導入しました。
ツール選定にあたっては類似品も検討しましたが、最終的には情報の信頼性の高さが決め手でしたね。これまでは情報のエビデンスを取るのに時間がかかっていたこともあり、出てくる情報に日経の裏付けがあることは、業務効率化の面でも有用です。
また、従来の市場分析では、政府の統計を見て、矢野経済研究所で市場調査などの情報を集めて、株価はYahoo!ファイナンスを参照して…と、複数のウェブサイトやツールを行き来していたんです。日経バリューサーチなら、これらの情報を一元的に取得できる点も魅力でした。
2. 活用方法とメリット
便利ツールをフル活用
情報を一元的に可視化できるカスタマイズにも着手
日経バリューサーチの機能では、「企業・業界検索」と「経済統計・商品情報」をよく使っています。上場している類似企業の企業価値のデータを一気に算出できる「マルチプル」、バリューサーチの財務諸表を直接操作できるExcelの拡張機能「アドイン」もフル活用しています。
M&A・M&A仲介やアライアンス先の選定でも役立っています。人材派遣業がどんどん大手に集約していく流れの中、我々もM&Aに注力して企業価値の向上を図っているわけですが、日経バリューサーチ導入後は、代表が思い描いた売上営業利益や時価総額の実現に向け、類似企業やシナジー効果のありそうな企業の成長率や事業内容のデータを抽出。情報を提示する際、わかりやすい根拠を示しながら説明できるようになりました。
代表が立てた事業計画の蓋然性の確認と、経営判断のための材料となる情報を提供する際にも役立っています。
Excelのアドインは、知りたい企業の情報を一瞬で引っ張ってこられるので便利ですね。
元々用意されているのは、企業情報だけ、財務情報だけといった特化型のテンプレートですが、必要な情報を一元的に可視化したいと思って複数のテンプレートを組み合わせました。定義書を読むことも考えたのですが、意外と工数が割かれそうですし、引数の考え方が同じなら比較的簡単に組み合わせられそうだと気づいてこのやり方にしています。自分好みに作れるのがいいですね。
カスタマイズが奏功したこともあり、これまで1社につき10分かかっていた情報収集の時間が、1秒程度に短縮された感覚です。競合他社の業績や株価動向をリアルタイムで比較したいときに、日にちだけ更新すれば、売上、利益、株価が全部更新されます。
最近では、こうした機能を活用して営業のターゲットリストの作成にも日経バリューサーチを役立てています。これまでも営業担当それぞれが日経新聞を読んだりニュースサイトを見たりして情報収集をしていましたが、取得できる情報には限界があり、その質や精度も人によってまちまちでした。マーケット全体を見ることができないので、取りこぼしも多かったんです。
現在は、競合比較レポート機能やコレクション機能を活用して私から適宜情報を共有するほか、契約が取れた1社の市場分析から、同様のニーズがありそうな会社を割り出して営業リストに加えてもらっています。
3. 今後の展開
データ活用の意義と価値が社内に浸透
エビデンスにもとづいた戦略による企業成長に期待
今後は、取締役会でIRの施策を示すときなどに、「なぜこの施策なのか」「なぜやるのか」「結果としてどうだったのか」を理解してもらう資料づくりに日経バリューサーチのデータを役立てていく予定です。KPIを開示して業績を提示できる環境が整うまでは、同様の施策を展開している競合企業のPERの変化など、エビデンスのあるデータを見てもらうことで合意形成をしていきたいですね。
最後に、これは思わぬ副次的効果ですが、日経バリューサーチを使えばデータが簡単に導き出せること、またそれを使うことによって事業戦略や営業戦略の有効性が高まることが社内に浸透した結果、代表や営業のマネジメント層から「使ってみたい」との声がかかるようになりました。
冒頭でお話ししたとおり、私の入社当初は多くの課題がありましたが、少しずつ良い方向に変わってきているのかなと。
データの重要性が社内でより広く認識され、より早く、より確実で優れた意思決定ができる企業へと成長していくべく尽力していきます。